読んだ。 #政治家の覚悟 #菅義偉

読んだ。 #政治家の覚悟 #菅義偉
 
先に読んだ安倍元総理の『美しい国へ』と随分違うことがまづおもしろかった。表現の仕方が随分違う。
一冊の本としてその構成や表現が違う。それぞれの人となりの現れ。
比べて読むおもしろさがあると思う。
 
賛成反対はあるとして、どういった考えで、その政策が実施されるのか、これくらいの説明は知っておいた方が良いのではないかと思う。
 
目次
はじめに
「政治の空白」は許されない
政治家を志した原風景
メリハリの利いたコロナ対策
コロナ禍でもマーケットは安定
ポストコロナ時代に迫られるデジタル化
地方創世の切り札
12 実際に、第一次安倍政権で総務大臣に就任してからは、かねてから自分の中で温めてきた「ふるさと納税」を官僚の大反対を押し切って創り上げました。地方から都会に出てきた人たちの多くは、「生まれ育った故郷に何らかの貢献をしたい」、「ふるさと、との絆をもっていたい」、そう思っているに違いないと思ったからに他なりません。今では、多くの国民の皆様にご利用いただいており、あのとき信念を曲げなくてよかったと考えています。
 
待機児童数が最少に
国益を守る外交・危機管理
15 本書は、2012年3月に刊行した拙著『政治家の覚悟 官僚を動かせ』(文芸春秋企画出版部)の第一章、第二章を再収録したものです。加えて、雑誌『文芸春秋』での官房長官時代のインタビューを再収録しています。
 
 
第1部 官僚を動かせ
第1章:政治家が方向性を示す;
両面性を持つ官僚の習性
責任は全て取るという強い意志
26 師事していた梶山清六先生(故人)
 「官僚は説明の天才であるから、政治家はすぐに丸め込まれる。お前には、俺が学者、経済人、マスコミを紹介してやる。その人たちの意見を聞いた上で、官僚の説明を聞き、自分で判断できるようにしろ」
 
 
第2章:自らの思いを政策に;
地方分権改革推進法の成立
ふるさと納税」制度の創立
頑張る地方応援プログラム
若手官僚を市町村へ派遣
税制を東京から地方へ
ICT分野での国際戦略
54 余談になりますが、私は政府内での「IT」と「ICT]の使い分けに違和感を覚えていました。これは官庁の縦割りからくるもので、経済産業省アメリカ由来のITを用い、総務省がヨーロッパ由来のICTを用いています。私は統一しようと働きかけましたがかなわず、今でもITとICTが併存します。
 
南米にデジタル放送日本方式の売り込み
 
 
 
第3章:決断し、責任を取る政治;
朝鮮総連の固定資産税減免措置を見直し
拉致被害者の救出のための新しい電波の獲得
67 拉致された可能性のある人たちの救出活動をしている特定失踪者問題調査会では、独自に短波放送をする「しおかぜ」を通じて、北朝鮮に向けてメッセージを流していました。国際放送をする周波数は、国際電気通信連合(ITU)から割り当てを受ける必要がありますが、当時の日本には、残念なことに「しおかぜ」から放送するための電波がありませんでした。そのため、「しおかぜ」は英国のVTコミュニケーションズに委託して、香港や東南アジアから北朝鮮に向けて発信していました。それも妨害電波のために、なかなか北朝鮮で受信することは難しかったようです。
 
電気通信事業法初の立入検査
夕張市財政破綻地方財政健全化法の突貫工事
金利の政府資金を繰上げ返済
 
 
第4章:国民目線の改革;
家賃を年間1億円も節約した独立行政法人
首長の高額退職金と地方公務員の高給にメス
新型交付税制度の創設
大阪市高給天国の謎
113 たとえば、2006年度で横浜市大阪市を比べると、横浜市よりも100万人も人口の少ない大阪市が、職員の数は1万人以上も多く、区役所の数も横浜市が18であるのに、大阪市は24でした。これに対し交付税は、横浜市が112億円、大阪市は453億円と、4倍も違いました。多額の交付税を受けながら、大阪市は市バスの運転手やごみ収集の環境事業職員などで年収1000万円以上の人が800人もいるという「高級天国」を形成していたのです。
 大阪市では、かつての社会保険庁と同様、市役所職員の労働組合による旧態依然たる支配が続きました。非効率な行政組織、高い職員の給料といった高コスト体質のために、本来街づくりに回すべき予算が減ったことなどが影響しライバル視していた東京都の都市間競争で大きく立ち遅れています。こうした役所の体質は、実感として市民に伝わります。この意味でも、改革を唱えた橋本新市長が誕生する下地はあったといえます。
 「改革の努力が見られない大阪市に、なぜ巨額の交付税が支給されるのか」
 官僚に質したところ、
 「大阪市生活保護者が多い。大阪市内の幼稚園はほとんどが市立で、横浜市はほとんどが私立です。大阪市はかつて法人関係の税収が多かったが、激減しているのに対し、横浜市は所得の高い市民が多く、税収が安定しているためです」
 といった内容の答えがありました。
 
首長の多選禁止への道筋
被災者の支援制度を使いやすく
122 このように、法律が運用される段になって、本来の意図とちがう結果が生じることもあります。政治家が、常に国民目線で現在の仕組みを見つめ、必要なところは修正し、足らざるところはスピード感をもって新たな制度を創立することにより対処することが必要だと、痛切に感じた事例でした。
 
 
第5章:マスコミの聖域にメス;
データを捏造したあるある大辞典
127 マスコミの反応は予想していた通りでした。それよりも、過去、何回も同じような過ちを犯しては、反省なくそれを繰り返している放送局に対し、従来の対応ではもう改善の見込みはないと判断したのです。私は言論の統制とか、検閲をする意志などまったく持っていませんでしたし、報道、編集など放送内容に政治や役所が関与すべきではないことは先刻承知していました。ただ、業務内容を改善できるような法改正をしなくては、国民の暮らしに悪影響が出ると懸念していました。
 法改正の趣旨は、
「虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解させるような放送により、国民生活に悪影響を及ぼすおそれ等がある場合、総務大臣は放送事業者に対し再犯防止計画の提出を求めることができる」
 とし、それも放送事業者が自ら認めた場合のみを適用の対象とすることとしました。
 
放送局への警鐘
NHK受信料の義務化と2割削減
NHK会長を外部から起用へ
 
 
第6章:「伝家の宝刀」人事権;
NHK担当課長を更迭
ノンキャリアを局長に抜擢
日本郵政総裁をめぐる人事
 
 
第7章:政務官でも仕事ができる;
東京湾アクアラインETC割引の実現
公安行政のワンストップサービス
 
 
第8章:議員立法で国会を活性化
万景峰号の入港禁止する法律
外国人犯罪の一掃へ
 
 
 
 
第2部 官房長官時代のインタビュー
 
・安倍政権は日本をこう変える;
政治主導を機能させたターニングポイント
こびりついていたデフレ体質からの脱却
総理とはあうんの呼吸
秘密法は謙虚に
最優先は経済
中韓とはあせらず淡々と
東日本大震災からの復興
 
 
・支持率低下覚悟の安保関連法成立;
特定秘密保護法で支持率は10%は下がるだろう
209 2013年、第一関門である特定秘密保護法を成立させるにあたっては、やはり世論の激しい反発を受けました。ただ、外交や安全保障上の機密を漏洩すれば、アメリカでは最も重い場合、死刑になる。日本でも重い罰則を設けなければ、他国は質の高い情報を渡してはくれません。
 
体中の力が抜けた
 
 
・携帯料金は絶対に四割下げる;
家計を圧迫する通信費
世界は下降傾向
格安にも大手が参入
本当に設備投資しているのか
半日がかりでの契約
利用者に選択の自由を
 
 
 
・我が政権構想
出馬を考えていなかったのは当然のこと
最優先課題は地方創生
当たり前を見極める政治
25兆円以上が浮いた計算
233 自然災害やコロナのような緊急事態を乗り越えるにあたっては、国民の皆さまや地方自治体にさらなる協力をお願いする場合も出てくるでしょう。私の持論は、国の基本は「自助、共助、公助」。自分でできることはまずは自分でやってみる。そして、地域、自治体が助け合う。その上で、政府が必ず責任をもって対応する。国民から政府がそのような信頼を得られるような、そういう国のあり方を目指したい。激甚化する水害などへの対応は着実に進め、国や行政と住民との信頼関係を深められるよう、一層努力していくつもりです。
 
外交・安全保障分野は弱点か
トランプ大統領の心をくすぐった殺し文句
派閥の談合には当たらない
国民の食い扶持を作る
239 初当選直後、梶山先生から頂いた叱咤激励が胸に強く残っています。
「政治家の仕事は、国民の食い扶持をつくることだ。そのために何ができるかしっかり勉強しろ。経済界、学界、マスコミ、官僚、いろいろな人脈を紹介してやる」。この「食い扶持を作れ」というのは梶山先生らしい表現ですが、国民の生活を支える政策を行うには、様々な視点、知見を持つ人々から幅広く話を聞く必要があるんだ、ということ。その通りだと思い、私も各界の専門家からなるべく幅広い話を伺い、自分の糧になるよう勉強を重ねてきたつもりです。
 同時にこうも言われました。
 
240 「お前は大変な時代に政治家になった。国全体が成長しているとき、与党の政治家が国民から支持を得ることは難しくない。俺はそんな良い時代の政治家だった。しかし、これからは人口が減少し、それだけでデフレになる。国民に負担を強いる政策も必要になる。与党の政治家は国民に対し、その必要性を説明し、理解してもらわなければならない」
 梶山先生の言葉通り、少子高齢化、人口減少をはじめ我が国は多くの問題を抱えています。これらの問題の解決には、政治がしっかりと方向性を示し、国民の皆様にもご協力をお願いすることが必要です。しかし、そのためには、同時に政治家自身が国民の皆様への説明責任をしっかりと果たしていく必要がある。
 歴史を振り返れば、いわゆるスキャンダルなどに対し、説明責任を果たせず、時の政権が窮地に立たされたこともありました。私にはそうしたスキャンダルはありません。38歳で市会議員に初当選したときから30年以上、政治家を続けていますが、ケジメは明確につけています。
 
意思あれば道あり
 
 
 
・終わりに 国民のために働く内閣