読んだ。 #偽情報戦争 あなたの頭の中で起こる戦い #小泉悠 #桒原響子 #小宮山功一朗

読んだ。 #偽情報戦争 あなたの頭の中で起こる戦い #小泉悠 #桒原響子 #小宮山功一朗

 

日本では日本語がかなり特殊である為、外国からの偽情報が入ってきにくいということもあり、ほとんどの人はそれについてあまり意識していないと思うが、ロシア、アメリカ、ウクライナEU、中国など、世界中で偽情報戦争が繰り広げられているらしい。
2014年のアメリカ大統領選、ロシアとウクライナの戦争、コロナウイルスに関するあれこれなど、実際に様々な偽情報やフェイクニュースが拡散されている。
もちろんそれらは、国民一人一人の信じている(信じたい)世界観に沿ったものでもあるのだが、それを利用して、自国の利益になる状況を生み出そうとする動きも実際にあるらしい。
現在もSNSなどでは、分断が進んでいる状況を見ることができるが、そのような目で見てみる必要もありそうだ。
今後、AIが進化して、日本への偽情報の脅威も増していく可能性がある中で、日本はどのように対処していかなければならないだろうか、というようなことが書いてあったと思う。

 

 

・これを台湾有事に当てはめると、中国はさまざまな情報戦を展開する可能性がある。基本的な戦略は、日本を米国から少しでも切り離さんとするものであろう。具体的には、「在日米軍基地と米国の軍事行動が日本を戦争に巻き込む」と訴えることで、日本国民の軍事アレルギーを刺激し、戦争や駐留米軍に対する批判的なデモを扇動する可能性も考えられよう。
 また、歴史的観点でいえば、中国からは、もともと沖縄は琉球という独立国家であり、清朝に従属していたなどという指摘が聞こえてくる。2017年1月付の公安調査庁の報告書では、「琉球帰属未定論」に関心を持つ中国の大学やシンクタンクが「琉球独立」を標榜する日本の団体関係者と交流を進めていると指摘されている。今後、台湾をめぐり中国が一段とこうした動きを強め、米軍基地が集中する沖縄の人々に働きかけ、日米の防衛力を低下させるよう揺さぶりをかけてくることにも警戒する必要があろう。さらに、日本国民の厭戦機運を高め、日本の台湾有事への介入を阻止するため、「先島諸島および九州や本州の一部が中国との激しい戦場になる」「米中の戦争が始まり、日本が米国に加担すれば、当然、日本に対する全面攻撃が行われる」といった国民に危害が及ぶとする情報や、「日本でも徴兵制が実施される可能性がある」といった日本政府に対する国民の不信や不満を煽るような情報が流布する可能性もあろう。

・個々人は合理的で冷静なので、あからさまな外国のプロパガンダを読んだり聞いたりしてもそう簡単に信じることはないからである。しかし、実際に隣人や同僚や公共機関が自らの世界観では理解し難い状況に陥っていればどうか?公務員が政府の方針に反抗してストライキを始め、要人が次々と暗殺され、店先から品物が消えた時、個々人は合理性や冷静さを保っていられるか?
 つまり、「電波侵略」はこのような状態を作り出し、群集心理によって個々人の精神を塗り替えることを目的とすべきだ、というのがメッスネルの考えであった。

・つまり、ロシアの情報戦が狙っているのは人々の認識を180度逆転させることではなく、大量の偽情報を複数のチャンネルから継続的・反復的に浴びせかけることによって何が事実なのかわからない状況を作り出すことなのである。

・民主主義というシステムの持つ問題
我々は、民主主義の合意を形成する力に期待し、民主主義が社会に分断をもたらす危険を看過していた。
 多くの民主主義国家において、多数決の原理と、少数者を保護すべきというリベラルな価値観は一つのセットになって考えられている。我々が目指す、少数者の意見も重視される多様な社会は、細かく分断された社会と紙一重である。
 技術の進歩により、選挙においては、「人々の分断を煽り、自らの支持者を投票に行かせるように動機付ける」ことの重要性が増している。社会の共通項ではなく分断を強調し、その分断のどちらか一方の勢力に対して、相手方への敵対心を煽るのである。

・あまり意識されない選挙の二つ目の目的は、敗者に負けを受け入れさせることである。近隣の小学校の体育館を貸し切り、候補者の名前が記された投票用紙を二重三重に確認し、集計するという現在の投票システムは非効率な側面はあるにせよ、敗者に結果の真正さを疑わせないだけの信頼と実績がある。

・独裁とテクノロジーが結合するのであれば、民主主義もまたテクノロジーとの結合を目指すべきである

・情報が闘争手段となったという現実を認め、安全保障の一領域として位置付けること――情報安全保障の概念を持つこと

・①戦争と平和をめぐる伝統的安全保障
②気候変動や感染症などの非伝統的安全保
③人々の認知をめぐる情報空間の安全保障

・「行いによるプロパガンダ
公務員が仕事をしなくなる。小さな暴力が社会に蔓延する。これまで当たり前に手に入っていた物資が手に入らなくなる。