読んだ。 #実戦!パソコン通信 #すがやみつる

読んだ。 #実戦!パソコン通信 #すがやみつる

 

自分にとっては『ゲームセンターあらし』の作者であった、やすがみつる先生が1985(昭和60)~86(昭和61)年に『MSXマガジン』で連載されていたというパソコン通信についての文章がまとめられた本。

1980年代の中頃、Windows以前、インターネット以前、まだほとんどの人がコンピュータを触ったこともなかった頃の「パソコン通信」の世界がどのような感じだったのか、やすが先生がどのようにして楽しんでいたのか、当時の空気感がそのまま伝わってきて、かなりおもしろかった。

子どものころ、無線の本やパソコンの本など、自分の知らないすばらしい世界があるのかと、よくわからないなりに想像してあこがれながらこのような本を読んでいた記憶を思い出した。

現在では誰でもスマホを持っていて、皆が普通にwebを利用していて、もうそれ無しでは生活できないような社会になっているが、そのはじまりの頃の話としても楽しめた。

当時、パソコン通信をしていた人たちの雰囲気と、現在多くの人が普通に利用しているSNSの雰囲気の違いなども考えさせられる。

当時、パソコン通信をしようと思ったら、KDDの国際電話サービスでアメリカに電話をかけて、アメリカのサーバーに繋いで、電話の受話器をマイクとスピーカーにくっつけて、ピーとかガーとかの音でデータをやりとりしていたようだ。

アメリカまでの電話代に加えて、利用したいサーバーの使用料などもかかり、1時間に5~6000円かかったらしい。

あと、パソコンが趣味という人に対して、当時はまだ「オタク」という言葉は無かったようで「ネクラ」といわれていたみたいだ。

 

↓このサイトで読みました。
https://www.mangaz.com/book/detail/49601

 

 

 

・人間と人間が、お互いの感情までをも伝え合うことができる素晴らしい通信手段だからこそ、ぼくは、このパソコン通信に熱中してしまっているのである。

・しかし、これらのSIGにアクセスするたびにいつも感心するのは、シスオペさんたちの献身的なまでのSIGに対する情熱である。誰か新しい人がメンバーになって、初めてのメッセージを書き込むと、必ずウェルカム・メッセージを書き、コマンドなどがわからなくてとまどっている人には、適切なアドバイスを与え、よからぬメッセージを書く者には警告を告げる。シスオペさんたちは、「コンピュサーブ」へのアクセス料を免除されているらしいが、それにしても、その頭が下がる。社会奉仕とかボランティアといった概念が生活に密着しているアメリカ人だからできることではなかろうか、などとも考えてしまうほどなのだ。これが日本ならどうだろう?のべつまくなしコンピュータを叩いているだけで、おかしいだの、ネクラだのといわれかねない。日本のパソコン通信の発展も、このあたりにあるような気がしてならないのだが・・・・・・。

・日本のパソコン通信は、「アスキー・ネット」などの一部を除いては、企業が手がけるものの大半がIP(情報提供者)からユーザーに向けて情報を与えるものと考えられているようだ。しかし、パソコン通信の最大の楽しさは、ユーザー同士が互いに情報を交換できる、本当の意味での「双方向通信」にあるはずなのだ。
 ニュースなんて新聞やテレビでこと足りる。つまらないデータなんか見たくもない。ぼくたちが欲しいのは、つい昨日まで、まったくの見ず知らずだった人たちと同じ趣味について意見や情報を交換することなのだ。そしてときには、ちょっぴりさびしくなったときなどにチャットや電子メールで、くだらないことをお喋りしたり。そんなコミュニケーション機能の充実したパソコン通信ネットが欲しいんだ。

・むやみにユーザーが増えることによって、コンピューサーブの中にあるCBシミュレーターの一部のユーザーのように、無節操な使い方をする人が出てくると、ほかのユーザーに失望を味あわせることにもなりかねない、ということだ。「コンピュサーブ」のCBシミュレーターでは、ヒワイな話をするとIDが取り消しになり、復活してもらうには10ドルの割金を支払わなければならないというルールもあるようだが、このようなルールの必要のないような節度やマナーも、ユーザー側が自覚する必要があるだろう。

・そう、そのOAGで出発の日時や出発地、到着地なんかで、全世界一日500万フライトあるっていう空便の検策ができるんだよね。料金別でもできる・・・・・・。それを担当者に見せたらビックリするんだよね。日本の旅行代理店がオンラインでつながってるのはJALだけで、あとは電話で座席を確保するってんだから。

・新聞、雑誌の投稿欄、あるいは深夜放送のリクエストはがきといったものは、必ず誰かのセレクトを受けた。しかし、パソコン通信は、そのフィルターなして、自分の存在をアピールできる。こんなメディアは、かつてなかっただろう。

・そして何よりもいいのは、場所と時間を選ばないこと。ハンドヘルド・パソコンと音響カプラを使えば、公衆電話からだってアクセスできる。